長野県佐久市の「さやか星小学校」が、従来の教育の常識を覆す「変な校則」を掲げたOOH広告を展開した。小学校によるOOH広告展開は非常に珍しく、その斬新な内容と展開場所の選択が特徴的だ。
小学校が仕掛ける異例のOOH
学校法人西軽井沢学園が運営するさやか星小学校は、2024年6月24日から7月4日にわたり、東京都の霞が関駅と長野県の軽井沢駅で比較的大規模なOOH広告を展開した。小学校による全国規模のOOH広告展開は極めて珍しく、教育業界に新風を吹き込む試みと言える。
霞が関駅と軽井沢駅、戦略的な展開場所の選択
本広告の展開場所として選ばれたのが、東京・霞が関駅と長野・軽井沢駅という対照的な2つの駅だ。霞が関駅は文部科学省をはじめとする中央省庁に隣接し、教育政策の中枢に近い場所。一方、軽井沢駅は学校所在地である長野県の玄関口であり、首都圏からのアクセスも良好な観光地でもある。
特に霞が関駅での展開は、「教育のあたりまえを変えていく。」というメッセージを、教育政策立案者や関係者に直接訴えかける狙いがあると考えられる。従来の教育システムに一石を投じる「変な校則」を、政策決定の中心地で発信するという大胆な試みは、OOH広告の持つ場所性を最大限に活用した事例と言えるだろう。
「変な校則」が伝える斬新なメッセージ
広告では「授業で脱線します」「教師が『教える』のをやめます」「みんなに同じ宿題は出しません」といった、従来の教育観念を覆す「変な校則」が掲げられている。これらのメッセージは、単なる学校の宣伝を超えて、教育のあり方そのものに問いを投げかける社会的な意味合いを持っている。
広告のクリエイティブでは、教育の象徴である「黒板」と「チョーク」をモチーフとして活用。子どもたちが深海を進んだり、宇宙へ飛び出したりする姿を描くことで、新しい教育の可能性を視覚的に表現している。従来の学校広告にはない斬新な表現が、通行人の目を引き付ける効果を発揮している。
OOH広告の可能性を広げる試み
本事例は、教育という社会的なテーマをOOH広告で取り上げた点で、広告業界にも新たな可能性を示している。特定の商品やサービスの宣伝ではなく、社会システムのあり方そのものに問いを投げかける広告は、OOH広告の社会的影響力を示す好例と言えるだろう。
また、地方の小規模な学校が東京のど真ん中でOOH広告を展開したことも注目に値する。デジタル広告全盛の時代にあって、物理的な場所性を持つOOH広告だからこそ可能になった戦略と言えるだろう。特定の場所で広告を展開することで、政策決定者と一般市民の双方に同時にアプローチする手法は、今後のOOH活用方法の参考になるだろう。
類似事例との比較
この事例は、2023年7月にUberが霞が関駅で展開した広告キャンペーンを想起させる。Uberが既存のタクシー業界の枠組みに挑戦したように、さやか星小学校も従来の教育システムに一石を投じようとしている点で共通している。両者とも、特定の場所でのOOH広告展開を通じて、政策決定者への直接的なアピールと一般市民への訴求を同時に狙った戦略的な取り組みと言えるだろう。
広告主 | 学校法人西軽井沢学園 |
内容 | さやか星小学校「変な校則」広告 |
時期 | 2024年6月24日〜7月4日 |
エリア | 東京都(霞ヶ関駅)、長野県(軽井沢駅) |
媒体 | 駅ポスター広告 |
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