前回、Oh! OOH!!を「事例紹介」から「OOHの可能性を考える場」へと方向転換することをお伝えしました。その背景には、この15年間でOOHを取り巻く情報環境が劇的に変化したことがあります。

サイト立ち上げ当初の2010年頃は、OOHの事例を体系的に紹介するサイトはほとんど存在しませんでした。しかし現在では、国内外で多くのOOH関連サイトが登場し、それぞれが独自の切り口で情報を発信しています。まさに「情報過多」の時代といえる状況です。

今回は私が普段から活用しているOOH事例紹介サイトやSNSアカウントを整理して紹介したいと思います。

OOHの企画や提案を考える際、「参考になる事例はないかな？」と思うことが多いのではないでしょうか。現在は本当にたくさんのサイトがあって、どれを見れば良いか迷ってしまうことも多いと思います。

使い分けのポイントは？

私自身の経験では、目的に応じてサイトを使い分けることが重要だと感じています。

「最新の動向を知りたい」時は、更新頻度が高く情報量の多いサイトをチェックします。「企画のヒントが欲しい」時は、海外の事例が豊富で表現手法に着目したサイトを見ます。「実際に媒体を検討している」時は、媒体情報が充実したプラットフォーム系のサイトを活用します。

また、「業界の生の反応を知りたい」時は、SNSアカウントをフォローして日々の情報をキャッチアップしています。

それぞれのサイトには特色があるので、一つだけを見るのではなく、複数を組み合わせて使うことで、より多角的な視点で情報収集ができるようになります。

国内の主要OOH情報サイト

※更新頻度はOOH事例の大まかな更新頻度の目安

SPACE MEDIA

運営： ミューカ株式会社
更新頻度：ほぼ毎日
特徴： 6,000件以上のOOHニュースと5,000件以上のメディア情報を網羅する圧倒的な情報量を誇ります。OOH専業の代理店が運営しているため、実務的な視点での事例紹介が豊富で、国内外の最新事例を速報性重視で配信しています。トレンドを素早く把握したい場合に最適です。
URL： https://space-media.jp/

アドクロ

運営： 株式会社ビズパ
更新頻度：週1回
特徴： 2020年8月以降「もう広告で迷わせない」をミッションに掲げ、2024年5月に「ビズパ」から「アドクロ」へブランドリニューアルを実施。7,000点以上の広告媒体を掲載し、25,000以上の会員企業が利用する総合広告プラットフォームとして成長しています。OOHを含む幅広い広告メディアの情報を提供し、媒体の検索・比較機能も充実しており、実際の媒体選定にも活用できます。
URL： https://bizpa.net/

アドターミナル

運営： メトロアドエージェンシー
更新頻度：週数回
特徴： 交通広告の総合情報サイトとして模範的な交通広告活用例が多く掲載されています。マーケティング関係者に加え、最近では応援広告目的で若年層の閲覧者も増加しています。交通広告の出稿方法やプランニングなどの基本知識も多く紹介されているためOOH初心者にも優しいサイトです。
僭越ながら、私も本サイトに多くの事例紹介記事やOOH活用コラム記事を寄稿させていただいています。
URL： https://ad-terminal.tokyo/

Universal OOH

運営： ジェイアール東日本企画
更新頻度：月数回
特徴： JR東日本のネットワークを活かしつつ、「OOHをわかりやすく、使いやすく」をコンセプトに、まだまだ多くの成長可能性を秘めたOOH市場に対し、UX向上やソフトからハードに至るさまざまな課題に取り組むプロジェクトの一環で運営されているサイトです。「Universal OOH Plus」という効果測定ツールとの連携により科学的アプローチも強化しています。3D広告やAR活用事例など、DOOH（デジタル屋外広告）の先進事例に特に力を入れています。
URL： https://universal-ooh.jeki.co.jp/

AdverTimes.（アドバタイムズ）

運営： 宣伝会議
更新頻度：週数回
特徴： 広告界の専門ニュースサイトとして、広告・マーケティング業界の最新ニュースや事例を配信。OOH事例についても広告業界全体の文脈で紹介しており、業界動向と合わせて事例を理解したい場合に有用です。広告賞の受賞作品や話題のキャンペーン解説なども充実しています。
ちなみに余談ですが、私も同社の運営するプロモーション専門誌「販促会議」のOOH事例紹介コラムを2019年3月から寄稿しています。
URL： https://www.advertimes.com/

海外の主要OOH情報サイト

Ads of the World

運営： Clio Network
特徴： Clio Awardsとの連携により、グローバルレベルで厳選された質の高い事例を紹介。多国籍大企業の大規模キャンペーンが中心で、革新的なアイデアやコンセプトからインスピレーションを得たい場合に最適です。
URL： https://adsoftheworld.com/

Cannes Lions

運営： Informa Festivals
特徴： 世界最高峰の広告賞として、様々な部門の受賞作品を紹介。OOHを含め業界の最高基準とトレンドを知るための必見リソースです。
URL： https://canneslions.com/

PR EDGE

運営： PR TIMES
特徴： PR視点から国内外の多様な広告・プロモーション事例を解説。OOHはPRとも密接に関わる部分が多いことからOOH事例も豊富です。海外事例も日本語で解説されているため、国際トレンドの国内導入を検討する際の橋渡し役として機能しています。
URL： https://predge.jp/

主なSNSアカウント

加藤誠也 広告（@adbrex_）

特徴： アドクロ編集長加藤誠也氏による個人アカウント。TV出演（TBS「日曜日の初耳学」）や業界セミナー講演など、メディア横断的な影響力を持ちます。noteでの日次OOH分析シリーズ「今日のOOH｜1分で学ぶ広告事例」により、教育的コンテンツの体系化を実現しています。
URL： https://twitter.com/adbrex_

総合報道【公式】（@sogohodopopeye）

特徴： 印刷メディア「総合報道」「POP EYE」との連携により、SNSと従来メディアの統合戦略を実践。J-pop、アニメ、ゲーミング業界のOOH事例が多く、エンタメ系OOH事例に強いSNSアカウントです。
URL： https://twitter.com/sogohodopopeye

USNO（@sephiroticvm）

特徴： 個人によるOOH事例のアーカイブアカウント。都内の主要駅を中心に圧倒的なOOH事例の情報量を誇り、毎週ほぼリアルタイムに各駅の広告の掲出状況を把握することができます。解説は最小限に抑えて事実の記録に特化しています。
URL： https://twitter.com/sephiroticvm

効果的な活用方法

これらのリソースを最大限に活用するためには、目的に応じた使い分けが重要です。最新情報の把握には各SNSアカウントやSPACE MEDIA、事例や使い方に関する深い理解にはAdverTimes.やアドターミナル。グローバルベンチマークにはCannes LionsやAds of the World。実際の媒体選定やプランニング相談ではアドターミナルやUniversal OOH、アドクロ、SPACE MEDIAといった具合に、段階的に活用することで効率的な情報収集や実務の進行が可能になります。

以下まとめになります。
※あくまでも筆者の主観によるまとめとなりますので、特定のサービスを推奨するものではありません。

目的別おすすめサイト／SNSアカウント

まとめ

今回ご紹介した各サイトやSNSアカウントは、それぞれに異なる役割と強みを持っています。繰り返しになりますが、大切なのは単に「情報を集める」ことではなく、目的に応じて情報源を選び、複数を横断して活用することだと感じています。

OOHの企画や提案に必要な要素は、最新トレンドの把握、表現アイデアの発想、媒体選定や効果検証、そして業界の空気感の理解まで──どれも一つのサイトだけで完結するものではありません。

情報が溢れるいまだからこそ、自分なりの視点で情報を整理・統合し、「点」ではなく「面」として捉える力が求められているのだと思います。今回の記事が、日々の情報収集を見直すきっかけになればうれしいです。